《映画の芸術》(読み)えいがのげいじゅつ

世界大百科事典(旧版)内の《映画の芸術》の言及

【映画】より

…同じころ,他の芸術との対比において映画の独自性を強調し,証明する方向に向かっていったカニュードは,映画における演劇性,とくに演劇をフィルムに撮っただけのフィルム・ダール社の作品を映画の敵とみなし,〈エクラニスト〉,すなわち〈スクリーンの芸術家〉は,〈現実を自分の心の夢に形どって変形し,魂の状態を表現するために光を細工しなければならない〉と主張するに至るのである。
[映画における〈芸術的差別〉]
 アメリカにおける映画批評の原点として知られるN.V.リンゼーの《映画の芸術The Art of the Moving Picture》が出版されたのは,D.W.グリフィスの大作《国民の創生》が公開された1915年のことであった。詩人のリンゼーは,例えば映画館をピラミッドの玄室の暗やみにたとえたり,女優のメリー・ピックフォードをボッティチェリの絵の女に比較したり,映画を絵画や他の芸術とのアナロジーにおいてとらえ,映画の本質を〈アクション(動き)〉〈インティマシー(人情)〉〈スプレンダー(壮麗)〉という三つの要素に還元し,〈動きの映画は彫刻に動きを与えたものであり,人情の映画は絵画の動いたものであり,壮麗の映画は動く建築である〉と定義した。…

※「《映画の芸術》」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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