《生の悲劇的感情》(読み)せいのひげきてきかんじよう

世界大百科事典(旧版)内の《生の悲劇的感情》の言及

【ウナムノ】より

…初めスペンサー流の科学万能主義から出発したが,97年の宗教的な危機の体験,翌年の米西戦争の敗北などを機会に,彼の思想は宗教的苦悩に満ちた実存的なそれへの傾斜を深めていく。1905年に発表した《ドン・キホーテとサンチョの生涯》では,狂気の遍歴の騎士のうちに不滅を求める人間存在の悲劇的運命を投影し,さらに彼の名を世界的なものにした《生の悲劇的感情》(1913)において,〈肉と骨を備えた〉具体的個たる人間の,理性と感情,論理と実存の永遠の葛藤を描いた。独裁者プリモ・デ・リベラの圧政に反対して24年に追放され,後フランスに亡命した6年間以外は終生サラマンカにとどまり,哲学的エッセーのみならず,詩や小説(代表作は1914年の《霧》)や戯曲など多方面にその才能を発揮した。…

【スペイン文学】より

…なお19世紀も末になるとフランスの自然主義が移入され,E.パルド・バサン,クラリンClarín(1852‐1901),V.ブラスコ・イバーニェスらがすぐれた作品を残した。
【〈98年世代〉から〈27年世代〉へ】
 1898年の米西戦争の敗北で祖国が最後の植民地を失ったとき,スペインの後進性を痛感し,苦悩のうちに未来を模索した作家たちを〈98年世代〉と呼ぶが,その中心となったのは《生の悲劇的感情》で理性と信仰の葛藤を論じ,それをヨーロッパとスペインとの関係にまで広げたM.deウナムノ,古典文学の再評価を通してスペインの魂を探求したアソリン,スペイン文学史上最も完成された小説家のひとりに数えられるP.バローハ,詩集《カスティリャの野》で,荒涼としたカスティリャの風景の観照を通してスペイン(人)の本質をさぐったアントニオ・マチャードらである。概してペシミズムを基調とし,真のスペインを発見しようとした〈98年世代〉に対し,ヨーロッパの思想に沿おうとした知識人たちを20世紀の〈第2の世代〉と呼ぶ。…

※「《生の悲劇的感情》」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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