《筆禍史》(読み)ひっかし

世界大百科事典(旧版)内の《筆禍史》の言及

【筆禍】より

…著書や新聞雑誌その他に発表した文章が,権力批判,風俗壊乱を理由に官憲の処罰の対象となり,体刑,罰金,発売禁止などの処分をうけること。出版による文学や言論の広範な普及に対処するために,国家機関が検閲制度を強化するにしたがって筆禍の事例は増加するが,日本では宮武外骨の《筆禍史》(1911)に〈筆禍の史実は此徳川時代に入りて,政治史の片影と見るべき社会的事象の一と成りしなり〉とあるように,木版印刷が盛行する江戸時代初期から,出版物の取締りがはじまっている。山鹿素行が《聖教要録》,林子平が《海国兵談》により,それぞれ幕府から処罰をうけたことはよく知られているが,享保,寛政,天保の三大改革にあたっては,戯作(げさく)小説も風俗壊乱のかどで取締りの対象となった。…

※「《筆禍史》」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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