《薬物誌》(読み)やくぶつし

世界大百科事典(旧版)内の《薬物誌》の言及

【生薬】より

…テオフラストスが記載した生薬は約480種類で,甘草,アニス,レモン,麦角(ばつかく),トラガカント,胡椒(こしよう),没食子(もつしよくし)などである。ローマ時代,ギリシア人のディオスコリデスは77年《薬物誌De materia medica》全5巻を書いた。それには植物性60,動物性80,鉱物性50品目が記載されている。…

【ディオスコリデス】より

…小アジアのキリキア地方アナザルボスの出身。ネロ皇帝治下のローマ帝国内で軍医として勤務,広く旅して薬物を実地研究し,《薬物誌》5巻を著した。薬物に対する合理的で鋭い鑑識眼をそなえ,当時形式化されかけていた分類法を再構築し,植物・動物・鉱物万般を収れん・利尿・下剤など,薬理・機能上から分類した。…

【本草学】より

…ヨーロッパのハーバリズムはテオフラストスに始まり,その《植物誌》は植物学書の始まりとされる。P.ディオスコリデスの《薬物誌De materia medica》には約600種の植物とその用法が記され,1世紀に公にされてから長いあいだ植物薬学の基準となっていた。その後,13世紀のアルベルトゥス・マグヌスの《植物論De vegetabilibus》を除けばめぼしい業績はなかったが,16世紀に至ってディオスコリデスの追加訂正の形でブルンフェルスO.Brunfels,フックスL.Fuchs,クルシウスC.de Clusiusらの植物の図解が次々と世に出たほか,16世紀末にはA.チェザルピーノの《植物学De plantis libri》がまとめられた。…

【薬酒】より

…したがって薬草を酒に浸けこみ薬酒とする技術も古くから開発された。ディオスコリデスの《薬物誌》にみえる例では,白い海藻をブドウ酒に入れ3ヵ月間放置して作る海藻酒(水腫,黄疸,脾臓病薬),過熟しないヨウナシをナナカマド類の実とともにブドウ酒に入れたナシ酒(胃病薬),バラの花を乾燥させてから粉砕し,ブドウ酒に加えたバラ酒(下痢止め),松やにを樹皮とともに細かく刻んで調合したロジン酒(咳止め,浣腸剤),ニガヨモギをブドウ酒に入れて作ったアブサン(肝臓病,黄疸,ヒポコンドリーに有効)など約50種を数える。また野生のキュウリなどを混ぜて作った堕胎酒も載せられている。…

※「《薬物誌》」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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