《資本主義発展の理論》(読み)しほんしゅぎはってんのりろん

世界大百科事典(旧版)内の《資本主義発展の理論》の言及

【金融資本】より

…金融資本という用語と重ね合わせて〈金融寡頭制financial oligarchy〉という表現もしばしば用いられている。 ヒルファディングが観察の対象とした時期以後,とくにアメリカで進行した事態を念頭におきながら,P.スウィージーは,独占体の支配構造における銀行の優位を含意するヒルファディングの概念規定を批判し,産業に対する銀行の優位は独占形成期に過渡的に現れる現象であるとして,誤解をまねく〈金融資本〉にかえて〈独占資本monopoly capital〉という用語を用いることを主張した(《資本主義発展の理論》1941,第14章)。ヒルファディングは,資本主義の新しい段階の発展傾向を一般的に明らかにすることを意図しているのであり,他の国や他の時期との対比において形成期のドイツ金融資本の特徴を明らかにしようとしているわけではない。…

【経済学説史】より

… その基礎理論における関心は,まず転化問題から価値論にむけられた。かつてスウィージーが《資本主義発展の理論》(1942)において,20世紀初頭のL.ボルトキエビチにより,マルクスによる価値の生産価格への転化手続の数理的不備を補強する試みを示し,1950年代にかけてその当否をめぐり欧米に一連の論争が行われていた。70年代に入ると,P.サミュエルソンのような近代経済学正統派の理論家やI.スティードマンのような新リカード学派の論客から,この論争問題を手がかりにマルクス労働価値説自体への攻撃が加えられ,それに応戦しながら欧米マルクス学派の価値論研究が深められつつある。…

【スウィージー】より

…近代経済学者としての彼の名を高めた論文《寡占状態における需要》(1939)において寡占価格の硬直性を説明した屈折需要曲線の理論を提示して寡占企業の行動の分析に一石を投じたが,彼の関心は,ミクロ的な静態論からマクロ的な動態分析へと進み,ケインズ経済学の内在的批判を通じてマルクス経済学に傾いていった。《資本主義発展の理論》(1942)およびP.A.バランとの共著《独占資本》(1966)がその成果であり,実証的で教条にとらわれない姿勢が示されている。【中村 達也】。…

※「《資本主義発展の理論》」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android