《近代株式会社と私有財産》(読み)きんだいかぶしきがいしゃとしゆうざいさん

世界大百科事典(旧版)内の《近代株式会社と私有財産》の言及

【株式会社】より

… その第1は,〈所有と経営の分離〉である。バーリAdolf A.BerleとミーンズGardiner Coit Meansの《近代株式会社と私有財産》(1932)が,当時アメリカ最大200の非金融会社の2/3は所有によらない支配,とりわけ専門経営者支配であることを実証分析を通して明らかにして以来,現代の大企業においては,所有と経営は分離しているという主張がしだいに強くなった。その後のR.J.ラーナーの調査は,1963年でアメリカ最大200の非金融会社の85%が経営者支配のもとにあることを明らかにした。…

【経営者】より

…また企業の量的拡大と質的変化が急速に進むなかで,漸次,経営・管理機能を管理者・経営者にゆだねていくことは不可避としても,彼らはあくまでも資本家ないし企業家に雇用されたsalaried executiveであり,基本的には資本家の代理人でしかないとみなされていた。しかしA.A.バーリとG.C.ミーンズの調査《近代株式会社と私有財産》(1932)以来,巨大株式会社においておこっている事態は,すでに上述の事態をはるかに超えていることを示している。そしてそれは,単に株式分散の進行,資本家の株式保有率の急減と発言力の低下といった株式保有面からの形式的側面以上に,現代企業における経営管理の質的高度化がいっそう資本家の後退,専門経営者層の台頭を呼びおこしていることを意味している。…

【産業組織論】より

…ミクロ経済学の応用分野の一つで,〈市場の失敗〉をもたらす要素としての市場の独占寡占化の原因や結果を現実の産業に即して分析し,どんな政策的措置が必要かを考察することを課題とする。今日の産業組織論の研究をリードしたアメリカでは,19世紀末から20世紀初頭にかけて第1波の,1920年代には第2波の大合併運動がおこり大企業体制が確立し,30年代にはイギリスのJ.ロビンソン(《不完全競争の経済学》1933)およびE.チェンバリン(《独占的競争の理論》1933)の寡占理論や,A.A.バーリとG.C.ミーンズらの大企業の性格や重要度の研究(2人の共著《近代株式会社と私有財産》1932)をはじめとする理論・実証の両面における新展開があった。この土壌の上に,40年代にはハーバード大学でメーソンEdward S.Mason(1899‐ )を中心とする経済学者が,市場構造―市場行動―市場成果という今日の産業組織論の分析枠組みの原型を適用して,精力的に個別産業のケース・スタディを進めていった。…

【所有と経営の分離】より

…通常の取締役会が受託経営者と呼ばれるのは,このためである。この点について,A.A.バーリとG.C.ミーンズの研究(《近代株式会社と私有財産》1932)が有名である(〈経営・経営管理〉の項参照)。 日本の大企業においても,所有と経営の分離が実証されており,企業の行動パターンに以下のような変化をもたらしているとされている。…

※「《近代株式会社と私有財産》」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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