《1924年ハプワス16日》(読み)せんきゅうひゃくにじゅうよねんはぷわすじゅうろくにち

世界大百科事典(旧版)内の《1924年ハプワス16日》の言及

【サリンジャー】より

…しかしその後極端に人目を避けて隠遁者のような生活に入った彼は,しだいに寡作になり,53年に従前の作品29の中から9編を選んで《九つの短編》を上梓したほかには,物質主義が支配する現代アメリカに生きるグラース家の7人兄妹の誰彼を中心に据えて競争社会の病患を照射した短編小説を散発的に5編発表したにすぎない。《フラニー》(1955)に始まるそれらの作品はそれぞれに短編としての完結性をもつと同時に,互いに結合しては大きな長編の世界を構成する結構をもち,最後の《1924年ハプワス16日》(1965)を除いてはいずれも巧妙多彩な技巧を駆使した逸品ぞろいである。しかし趣向倒れの感のある《ハプワス》ににじむ苦渋と併せてその後の長い沈黙を考えるならば,禅や神秘主義の世界に踏み込んだ彼が現に逢着している困難の大きさがそこにうかがわれるのかもしれない。…

※「《1924年ハプワス16日》」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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