『千の風になって』(読み)せんのかぜになって

知恵蔵 「『千の風になって』」の解説

『千の風になって』

クラシックのテノール歌手である秋川雅史が歌う曲で、2006年末の紅白歌合戦で歌われたことで広く知られるようになり、直後にオリコンチャートにランクインし、結局、07年のシングル曲のうち唯一100万枚を超えたミリオンセラーヒットとなった。クラシック畑の歌手のミリオンセラーシングルは過去に例がない。そもそもは作者不詳の英語の歌詞シンガーソングライター新井満が訳し曲をつけたもので、自身の歌でもCD化されている。「私のお墓の前で泣かないでください」で始まる歌詞の世界は、私は風になって世界中に存在するのだという、万物に霊が宿るというアニミズムの考え方に基づくもので、この曲の中心的ファン層である中高年の心の琴線に触れたのがヒットの要因であるといわれている。

(稲増龍夫 法政大学教授 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android