いて(射手)座(読み)いてざ

改訂新版 世界大百科事典 「いて(射手)座」の意味・わかりやすい解説

いて(射手)座 (いてざ)
Sagittarius

略号Sgr。黄道星座の一つ。現在の冬至点はこの星座にある。ギリシア神話で半人半馬族ケンタウロス族に属する賢者ケイロンの姿をかたどり,弓に矢をつがえ,さそり座のアンタレスをねらう姿になる。星座の主体をなすのはひしゃく形に並ぶζ,τ,σ,φ,λ,μの6個の星で,中国では南斗六星と呼んでいた。α星ルクバト(アラビア語の射手のひざに由来)は,この星座のずっと南のほうにあり,明るさはわずか4.1等しかない。星座全体でいちばん明るい星はε星で1.8等,スペクトル型はB9である。天の川の色濃い部分に面し干潟星雲M8,オメガ星雲M17,三裂星雲M20などの星雲や星団が多い。また銀河系の中心はこの星座にあり,球状星団M22,M28,M55もこの星座に見られる。銀河の中心核は赤外観測や電波観測で研究されている。概略位置は赤経19h0m,赤緯-25°。午後8時の南中は9月上旬である。
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百科事典マイペディア 「いて(射手)座」の意味・わかりやすい解説

いて(射手)座【いてざ】

9月上旬の夕方,南の地平線近く見える星座。銀河系の中心方向に当たり,星団や星雲が多く存在する。黄道十二宮の第9宮。6個の星が描くひしゃく形を南斗六星という。ギリシア神話の半人半馬ケイロンが矢をつがえた姿という。

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