かんがい施設遺産(読み)かんがいしせついさん

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

かんがい施設遺産
かんがいしせついさん

国際かんがい排水委員会(ICID)が2014年に創設した、歴史的・技術的・社会的価値のある灌漑(かんがい)施設を登録する制度。灌漑の歴史・発展を明らかにし、理解を深めることに加え、灌漑施設の適切な保全に資することを目的とする。対象となるのは、灌漑が目的のダムや溜池(ためいけ)、堰(せき)、分水施設、水路、水車などのうち、建設から100年以上経過し、灌漑農業の発展に貢献したものや、卓越した技術により建設されたものなどである。具体的には、灌漑農業の画期的な発展、農業発展、食料増産、農家の経済状況改善に資するもの、構想、設計、施工、規模等が当時としては先進的なものといった10の条件のどれか一つ以上を満たすこととなっている。
 登録により、灌漑施設の持続的な活用・保全方法の蓄積や、灌漑施設を核とした地域づくりへの活用も期待されている。
 第1回の登録において、日本国内からは9施設が選ばれた。このなかには、織田(おだ)氏の城下町小幡(おばた)の中心部を流れ、堰沿いの桜並木が名所として観光客を集めている雄川堰(おがわぜき)や、豪快な放水の光景がみられる石造りのアーチ式水路橋、通潤橋(つうじゅんきょう)を通る通潤用水など、観光地となっている施設もある。[佐滝剛弘]

資料 日本のかんがい施設遺産一覧

稲生川(いなおいがわ) 青森県十和田(とわだ)市他
雄川堰 群馬県甘楽(かんら)
深良用水(ふからようすい) 静岡県裾野(すその)市他
七ヶ用水(しちかようすい) 石川県白山(はくさん)市他
立梅用水(たちばいようすい) 三重県多気(たき)町他
狭山池(さやまいけ) 大阪府大阪狭山(おおさかさやま)
淡山疏水(たんざんそすい) 兵庫県神戸市他
山田堰(やまだぜき)、堀川用水(ほりかわようすい)、水車群 福岡県朝倉(あさくら)
通潤用水 熊本県山都(やまと)

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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