屑屋(読み)クズヤ

デジタル大辞泉 「屑屋」の意味・読み・例文・類語

くず‐や〔くづ‐〕【×屑屋】

紙くず・ぼろ・古綿などの廃品を売買する商売。また、その人。
[類語]ばた屋

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「屑屋」の意味・わかりやすい解説

屑屋 (くずや)

近世前期にすでに京の町には紙くず買がいた。1690年(元禄3)刊の《人倫訓蒙図彙(じんりんきんもうずい)》には,大きな布袋を肩にかけ,さおばかりを携えた女の紙くず買の姿が描かれ,紙であればなんでも買い集めて直し屋(再生処理業者か)へ売るとしてある。紙くず買はその後大坂,江戸その他の町にも現れ,近世後期には男性の仕事となり,古着,古銅,古鉄,古道具などをも買い集めるようになった。布袋にかわって大きな籠を背負い,買い集めたものはそれぞれ直し屋,古着屋,古鉄屋,古道具屋などに引き取られ,口銭をもらった。こうしてくず屋ともいうようになった。西鶴の《好色一代女》には紙くず拾いのいたことがみえ,山岡浚明(まつあけ)の《類聚名物考》には,関東の紙くず拾いは籠をかつぎ,竹の長ばしで道路に落ちている紙くずを拾うとしている。近代ではくず屋は手車やリヤカーをひいて廃品や不用品を買い集め,紙くず拾いはバタ屋と呼ばれるようになった。現代では一般に廃品回収業と呼ばれ,拡声器を備えたトラックで町や村を巡回し,古新聞や古雑誌をもとめる〈チリ紙交換〉がこうした業種を代表するものとなっている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「屑屋」の意味・わかりやすい解説

屑屋
くずや

廃品の再生を目的として屑物を買い集める業者の俗称。廃品回収業者のこと。江戸時代からあるが,近年都市化工業化過程で発達した一種職業となっていた。仕切屋から金を預って買い集め,仕切屋はそれを金属,紙,布などに分類して,それぞれの製造会社に売った。関西で「てん屋」と呼ばれたこともあったのは,「たまってんかー」などという呼び声のためである。

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