猿股(読み)さるまた

精選版 日本国語大辞典 「猿股」の意味・読み・例文・類語

さる‐また【猿股】

〘名〙
① 男子が用いる短いももひき。腰からももの上部をおおう、半ズボン型の短い下着。さるももひき。西洋ふんどし。
※俳諧・糸瓜草(1661)五「木のほりも猿またかくや栗の枝〈不知作者〉」
② 江戸時代の歌舞伎で、股立(ももだち)をとった荒事師や、時代物の奴(やっこ)などが、ひざがしら下部に結ぶ三角形の布。普通は「三里あて」という。〔随筆一話一言(1779‐1820頃)〕

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デジタル大辞泉 「猿股」の意味・読み・例文・類語

さる‐また【猿股】

腰や股を覆う、男子用の短い下ばき。さるももひき。
[類語]股引ももひきすててこパッチ

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改訂新版 世界大百科事典 「猿股」の意味・わかりやすい解説

猿股 (さるまた)

股下に襠(まち)をいれてたっぷりさせた,パンツ形式の丈の短い男性用下ばき。男性の下ばきは,時代や身分によって犢鼻褌(たふさぎ),下袴(したのはかま)と呼ばれる股のあるものと,下帯,(ふんどし)などと呼ばれる布を巻く形式があった。明治以降,洋装への転化によってそれまでの褌からさるまたへと一般化した。語源は明治時代にできた言葉で,マタシャレという袴の一種を逆さに言ったという説と,一部の地方で使われていたキャルマタという言葉から出たという説があるが,猿股引(さるももひき)の略語としてすでに江戸時代に使われていた。猿股引防寒や労働のための各種の股引のなかで,膝下1~2寸ほどの最も短いもの。猿回しサルにはかせたのでこの名があるという。
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