デジタル大辞泉
「さんす」の意味・読み・例文・類語
さん・す[動]
[動サ特活]《動詞「さしゃんす」の音変化》「する」の丁寧の意を含んだ尊敬語。なさいます。
「せんかたなさに怖い事など―・せぬか」〈浄・女腹切〉
[補説]活用は助動詞「さんす」に同じ。
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
さんす
〘助動〙 (活用は、「さんせ・さんし・さんす(さんする)・さんす(さんする)・さんすれ・さんせ」) 聞き手に対する尊敬の意の加わった、
動作をするものに対する尊敬を表わす。
対称の動作に使用すると、かなり高い尊敬を表わし、他称の動作に使用すると、他称への尊敬と話相手に対する尊敬とが表わされることになる。お…なさいます。
① (助動詞「さしゃんす」の変化したもの) 上一段・上二段・下一段・下二段活用の未然形とカ変の連用形(まれに未然形)に付く。→語誌(2)。
② (助動詞「しゃんす」の変化したもの) 四段・
ナ変の未然形に付く。
※
評判記・
難波物語(1655)「花のあしたには、いなさんすかの言葉をわすれかねて、たもとを
春雨の露にびたつき」
※
浮世草子・風流
夢浮橋(1703)三「うら向よりすだれあげ、はいらんせ、はいらさんせと呼込こゑもかしましく」
[語誌](1)発生当初は遊女ことばであったが、元祿(一六八八‐一七〇四)頃には、一般女性も使用するようになり、江戸中期には、床屋・関取・侠客などの特殊な男性も使用し、さらに一般化していった。
(2)一音の一段活用動詞に接続する時は、「やさんす」となることがある。「まあ其処へ寝やさんせ」〔歌舞伎・吉祥天女安産玉‐二〕など。
さん・す
〘他サ特活〙 (活用は助動詞「
さんす」に同じ。助動詞「さんす」がサ変に接続した「せさんす」の意に用いた語。ただし、「せさんす」の形は見られない) 「する」の意の尊敬の意に丁寧の意の加わった語。なさいます。
※評判記・難波鉦(1680)一「まことならば、ねびきにさんしたがよふござる」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報