さ渡(読み)さわたる

精選版 日本国語大辞典 「さ渡」の意味・読み・例文・類語

さ‐わた・る【さ渡】

〘自ラ四〙 (「さ」は接頭語。広い空間や時間を越えて移動する、渡るの意)
① 空や水面を越えて行く。また、遠く離れたところを過ぎて行く。
古事記(712)中・歌謡「ひさかたの 天の香具山 利鎌(とかま)に 佐和多流(サワタル)(くび) 繊細(ひはぼそ)(たわ)や腕(がひな)を」
② こちらから向こうへ移る。また、向こうからこちらへくる。
落窪(10C後)二「さりとも胸はいとおそろしき物をといふ程に、典薬さわたれば、こちいませと呼び給へば、ふとよりたる」
太陽や月が空を横切る。
万葉(8C後)一一・二四五〇「雲間より狭(さわたる)月のおほほしくあひ見し子らを見むよしもがも」
④ 通り過ぎる。
風俗歌(9C前‐11C中か)小車「月の面(おも)を 佐和太流(サワタル)雲の まさやけく見る こさやけく見る」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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