デジタル大辞泉
「なずさう」の意味・読み・例文・類語
なずさ・う〔なづさふ〕
[動ハ四]
1 水に浮いて漂う。または、水につかる。
「はしけやし家を離れて波の上ゆ―・ひ来にて」〈万・三六九一〉
2 なれ親しむ。なつく。
「いときなきより―・ひし者の」〈源・夕顔〉
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
なずさ・う なづさふ
〘自ハ四〙
① 水に浮かびただよう。また、水につかり、もまれる。
※
万葉(8C後)五・三六二五「
夕されは 蘆辺に
騒き 明けくれば 沖に奈都佐布
(ナヅサフ) 鴨すらも
つまとたぐひて」
② なじむ。なつく。なれ親しむ。なずさわる。
※神楽歌(9C後)採物・幣「〈末〉幣に ならましものを すべ神の
御手に取られて 奈津佐波
(ナツサハ)ましを 奈津佐波
(ナヅサハ)ましを」
※
源氏(1001‐14頃)夕顔「いときなきよりなづさひし者の、今はのきざみにつらしとや思はむと」
[補注](1)「なずさわる」「なずむ」と同根か。
(2)①の
挙例のように「万葉集」においては船や
水鳥が水に浮いている意として用いられており、本来は歌語であったらしい。平安朝以降は②の慣れ親しむの意に用いられた
用例が多いが、水にひたるように相手に慣れまつわるの意で②が生じたものか。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報