改訂新版 世界大百科事典 「ふたご(双子)座」の意味・わかりやすい解説
ふたご(双子)座 (ふたござ)
Gemini
略号はGem。黄道星座の一つ。オリオン座の北東に位置し,現在夏至点がある。α星カストル,β星ポルックスから天の川にむかってつづく1対の星列は,ギリシア神話のふたご兄弟の英雄カストルとポリュデウケスの姿を描く。α星カストルは光度1.6等,ともにA型星の二重星で,公転周期340年の連星系である。しかもカストルA星は周期9.2日,カストルB星は周期2.9日の分光連星で,しかもこれに近接したカストルCも周期0.8日の分光連星であり,これはまた赤色矮星(わいせい)の変光星YYGemと呼ばれ,カストル星全体では六重星となる。β星ポルックスは光度1.1等,スペクトル型K0型の巨星である。この星座の東端にある銀河星団M35(NGC2168)は光度5.3等で肉眼で所在を確かめることができる。星座の概略位置は赤経7h0m,赤緯+22°。午後8時の南中は3月上旬である。
執筆者:石田 五郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報