べろべろ

精選版 日本国語大辞典 「べろべろ」の意味・読み・例文・類語

べろ‐べろ

[1] 〘副〙 (「と」を伴って用いることもある)
① 舌で物をなめるさま、舌なめずりするさまを表わす語。
※俳諧・文化句帖‐補遺(1806‐11)「べろべろ舌先の荒るるばかりなめづりつつ」
② 炎が出たり、火が燃え広がったりするさまを表わす語。
※土(1910)〈長塚節〉二五「蛇の舌のごとくべろべろと焔が吐き出された」
湯水で、顔などを洗うさまを表わす語。
足袋の底(1913)〈徳田秋声〉二「汚い湯で顔をべろべろやりながら」
琵琶の音を表わす語。
※雑俳・俳諧觿‐二九(1828)「家ざくらには琵琶をべろべろ」
⑤ 泣きわめく声を表わす語。
滑稽本・田舎草紙(1804)五「乳べしさがいて、べろべろとほへおるがいげちない」
⑥ 張りがなく柔らかいさまを表わす語。また、はでで目立つさまにもいう。
※湯女(1898)〈内田魯庵〉「矢張お前がベロベロした着物に赤脚布(ふんどし)を締めて漆腐細工の人形みてに塗立ててジャラクラしてゐてから」
⑦ =べらべら(一)②
落語・お祭佐七(1890)〈禽語楼小さん〉「べろべろ饒舌(しゃべ)ります」
⑧ 酒などに酔っぱらってだらしなくくずれるさまを表わす語。
※まんだん読本(1932)ある忘年会山野一郎〉「はや八時半ともなれば、上戸はいづれも、ベロベロと相成り」
[2] 〘形動〙
物事重みがなくて薄っぺらなさま。
道草(1915)〈夏目漱石〉下「兄から貰ったべろべろの薄羽織を着て」
② 酒などに酔っぱらって、だらしなくくずれるさま。
春泥(1928)〈久保田万太郎〉冬至「酔っても正体をなくすといふことはなかった。━どんなにべろべろになっても」
[3] 〘名〙 物をなめること。
※雑俳・柳多留‐二〇(1785)「べろべろをしてとうがらしこりはてる」

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デジタル大辞泉 「べろべろ」の意味・読み・例文・類語

べろ‐べろ

[副]
舌を出して、しきりに物をなめるさま。「手をべろべろ(と)なめる」
火が勢いよく燃えるさま。
「焔の赤い舌が―と長く立った」〈長塚
やわらかいさま。
臓腑は丁度斯う大風呂敷の包のように―したままで」〈藤村破戒
[形動]
酔ってろれつが回らないさま。正体がないほどに、ひどく酒に酔ったさま。べろんべろん。「飲みすぎてべろべろになる」
薄っぺらなさま。
「―の薄羽織を着て」〈漱石道草
アクセントロベロ、はベロベロ
[類語]1ぺろっとぺろぺろなめるなめ回すしゃぶるねぶるしゃぶりつく舌なめずりなめずる1)酔う・酔っ払う出来上がる酩酊めいていする沈酔する大酔たいすいする泥酔する乱酔する飲まれるとらになる酒気を帯びる微醺びくんを帯びる酔い潰れるぐでんぐでんべろんべろんへべれけれろれろ

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日本の郷土料理がわかる辞典 「べろべろ」の解説

べろべろ


石川県金沢市の郷土料理で、溶き卵を寒天で寄せたもの。だし汁で寒天を煮溶かし、しょうゆ・砂糖・おろししょうがで調味して、これに溶き卵を流し入れ、卵が固まったら火をとめて冷まし固める。正月祭り、祝いの席に欠かせない料理。◇「卵のべろべろ」「えびす」ともいう。

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デジタル大辞泉プラス 「べろべろ」の解説

べろべろ

北陸地方の郷土料理「べっこう」の別称のひとつ。主に石川県での呼び方。

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