炮烙とも書く。また、ほうらくともいう。素焼の平たい土鍋(どなべ)で、米、ゴマ、豆、塩などを炒(い)るのに使われる。漢語の「炮烙(火刑の一種)」を語源とするのであろうが、ほかに「火色(ほいろ)の器(く)」から転じたとする説(『東雅(とうが)』)や、火にかけるときはゆっくりと中身を回転させなければならないので、その点が静御前(しずかごぜん)の法楽舞(ほうらくまい)に似ていることによるとする説(『和漢三才図会(わかんさんさいずえ)』)がある。『物類称呼(ぶつるいしょうこ)』によれば、京都では「いりごら(炒瓦)」、下総(しもうさ)では「いりがら」ともよぶという。摂津、河内(かわち)、播磨(はりま)を主産地とした。割れやすいものの代名詞に使われ、「焙烙千に槌(つち)一つ」(千個の焙烙でも一つの槌で割ることができる)などの諺(ことわざ)がある。
[森谷尅久・伊東宗裕]
浅い皿形の厚手の土器。関西でいう〈ほうらく〉が正しい読みで,〈ほうろく〉はそのなまり。炮烙とも書く。火のあたりがやわらかいので,豆,ゴマ,茶などをいるのに適する。そのため,物炒り(ものいり)を物入りにかけて,出費の続くことを〈焙烙の行列〉というしゃれがある。ほうろく焼きは江戸時代から行われていた料理で,《料理談合集》(1822)には〈ほうろくへしほをもり,魚は何にてもしほの上へならへ,又,ほうろくをふたにして,上下に火を置てやく〉と見えるが,現在ではふつうオーブンで焼き,ポンスしょうゆで食べている。小型のほうろくは伝法(でんぼ)/(でんぼう)と呼び,これを用いて焼く場合は〈でんぼ焼き〉といった。なお,茶の湯では炭手前の際,灰を入れて持って出るのはほうろくを使い,これを〈灰焙烙(はいほうらく)〉〈灰器〉などと呼んでいる。
執筆者:鈴木 晋一
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…火のあたりがやわらかいので,豆,ゴマ,茶などをいるのに適する。そのため,物炒り(ものいり)を物入りにかけて,出費の続くことを〈焙烙の行列〉というしゃれがある。ほうろく焼きは江戸時代から行われていた料理で,《料理談合集》(1822)には〈ほうろくへしほをもり,魚は何にてもしほの上へならへ,又,ほうろくをふたにして,上下に火を置てやく〉と見えるが,現在ではふつうオーブンで焼き,ポンスしょうゆで食べている。…
※「焙烙」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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