雪洞(読み)ボンボリ

デジタル大辞泉 「雪洞」の意味・読み・例文・類語

ぼんぼり【雪洞】

灯をともす部分の周囲に紙または絹張りおおいをつけた手燭てしょく・燭台。また、柄と台座をつけた小さい行灯あんどん。せっとう。
茶炉などに用いる、紙張りのおおい。せっとう。
近世の宮廷使用の扇で、中啓より上部の外側の開きがやや狭いもの。中浮ちゅううけ
耳のあかをとる道具。柄をつけて頭部を羽で飾ったもの。
[類語]行灯あんどん提灯ちょうちん松明たいまつ燭台手燭万灯灯台角灯灯籠雪見灯籠回り灯籠走馬灯石灯籠ランプランタンカンテラ

せっ‐とう【雪洞】

茶道で、木または竹の枠に白い和紙を張って一部に窓をあけ、風炉の上を覆うもの。火持ちをよくするために用いる。
ぼんぼり」に同じ。

せつ‐どう【雪洞】

積雪期登山の際、露営のため雪の斜面に掘ってつくる穴。

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精選版 日本国語大辞典 「雪洞」の意味・読み・例文・類語

せつ‐どう【雪洞】

〘名〙
① (Schneehöhle の訳語) 雪の洞穴(ほらあな)。倉庫用あるいは登山の雪中露営など、いろいろな用途に用いられる。ゆきあな。スノーホール。〔氷雪の山(1948)〕
ソフィアの秋(1968)〈五木寛之〉六「そこで雪洞を掘ってビバークすることに決めた」

せっ‐とう【雪洞】

〘名〙
① 木や竹のわくに白い紙を貼り、その一部に窓をあけ、茶炉(ちゃろ)などの上をおおうもの。火気を散らさないで、火持ちをよくさせるために用いる。〔書言字考節用集(1717)〕
② 紙または絹張りのおおいのある手燭。また、六角形の下方が少しつぼまった火をおおう部分に柄(え)をつけ、その下端に台座をつけた小さな行灯(あんどん)。ぼんぼり。

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改訂新版 世界大百科事典 「雪洞」の意味・わかりやすい解説

雪洞 (ぼんぼり)

灯火具の一種。〈ぼんぼり〉は〈ほんのり〉の語の転訛で,灯火を紙や布の火袋(ほぶくろ)でおおい,火影のほのかにすいてさだかならぬをいったという。〈ぼんぼり〉は,はじめ広く灯火,茶炉(さろ)などに取りつけたおおいのことであったが,ついで小型の行灯あんどん)をいうようになり,後にはもっぱら紙・布などをはった火袋を取りつけた手燭(てしよく)または燭台を呼ぶようになった。手燭や燭台はろうそくを用いる灯火具で,普通には灯台のように裸火をとぼしたが,その炎が風のためにゆり動かされ,吹き消されたりするのを防ぎ,かつ失火のわざわいを避けるために,行灯のようにこれに火袋を取りつけた〈ぼんぼり〉が考案された。〈ぼんぼり〉の火袋には,ふつう口のひらいた六角筒のものが用いられたが,また円筒形,ナツメ形,ミカン形のものなども行われた。〈ぼんぼり〉の手燭はもっぱら臨時の手元・足元の照明に利用され,〈ぼんぼり〉の燭台は常夜灯として座敷などにすえおかれた。今でも3月の雛祭の飾段や園遊会の会場などに装飾灯として用いられている。
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雪洞 (せつどう)
snow hole
Schneehöhle[ドイツ]

一般には雪の洞穴(ほらあな)をさすが,雪の洞穴を生活や登山活動などに利用することもいう。世界の多雪地では冬期貯蔵庫など各種の用途に利用され,日本の東北地方の〈かまくら〉もこの一つと考えられる。登山用に利用して成功したのは,1929年ドイツ隊のヒマラヤ・カンチェンジュンガ登山が最初で,以後,雪中露営の方法として活用されるようになった。近年では,雪洞を利用するとテントなしで装備も軽量で行動できるので,積極的に前進基地として利用する登山計画もたてられるようになっている。雪洞は積雪が多い雪の斜面に穴を掘るわけだが,雪崩の危険や風向などに対する判断,天井の沈下による埋没などを考えながら数人の生活空間をつくり出す必要があり,労働量も大きく,かなりの技術を要する。洞内は外気より4~5℃暖かいが,炊事などによる酸素の消費などもあり,洞穴の換気にはとくに注意しなければならない。雪面の傾斜や雪質により各種の形態がある。
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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「雪洞」の解説

雪洞 せつどう

?-? 織豊時代の画家。
臨済(りんざい)宗の僧。雪舟等楊(とうよう)の画風をまなび,水墨花鳥画や,御伽(おとぎ)草子風の絵巻がつたえられている。福島県の円蔵寺にある「虚空蔵縁起絵巻」の奥書「天正(てんしょう)15年(1587)丁亥卯月……画工雪洞筆」により活躍期を知ることができる。陸奥(むつ)会津(福島県)出身。

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百科事典マイペディア 「雪洞」の意味・わかりやすい解説

雪洞【ぼんぼり】

灯火を紙や布の火袋(ほぶくろ)でおおった蝋燭(ろうそく)用灯火具。手元,足元の照明用の手燭(てしょく)と常夜灯の燭台があり,火袋は口の開いた六角筒のものが多い。

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