まど・みちお

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「まど・みちお」の意味・わかりやすい解説

まど・みちお

[生]1909.11.16. 山口,徳山
[没]2014.2.28. 東京
詩人本名石田道雄。台湾に渡った家族と離れて,幼少時代を祖父と過ごした。台北工業学校土木科に在学中に同人誌をつくり,詩を書き始めた。1929年同校を卒業して台湾総督府の道路港湾課で働いていたとき,雑誌『コドモノクニ』に応募した童謡詩『ランタナの籬(まがき)』と『雨ふれば』が選者北原白秋の目に留まり,童謡を本格的に書き始めた。詩人の水上不二と同人誌『昆虫列車』を創刊し,1939年に白やぎと黒やぎの間で,手紙のやりとりがユーモラスに繰り返される『やぎさんゆうびん』を発表した。第2次世界大戦後は工場の守衛を経て出版社に就職,幼児雑誌の編集に携わりながら『ぞうさん』や『ふしぎなポケット』などの童謡詩を発表した。1959年に退職して詩や童謡づくりに専念。1966年,『一ねんせいになったら』を書いた。1968年に最初の詩集てんぷらぴりぴり』で野間児童文芸賞受賞。1993年に『まど・みちお全詩集』により芸術選奨文部大臣賞,産経児童出版文化賞大賞,路傍の石文学賞特別賞を受賞。1994年,児童文学ノーベル賞といわれる国際アンデルセン賞を受賞した。1999年朝日賞,2002年丸山豊記念現代詩賞,2003年日本芸術院賞を受賞。2009年に新作詩集『のぼりくだりの…』『100歳詩集 逃げの一手』を刊行した。

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百科事典マイペディア 「まど・みちお」の意味・わかりやすい解説

まどみちお

詩人。山口県徳山町の生まれ。幼少期は同町で祖父に育てられ,少年時代は家族とともに台湾で暮らす。台北工業学校を卒業後台湾総督府道路港湾課に勤務。1934年雑誌《コドモノクニ》に童謡詩を投稿し認められ,1936年童謡《ふたあつ》が作曲された(山口保作曲)。第2次大戦中は船舶工兵として出征。戦後は出版社に在職しながら創作活動を続け,1959年以降,詩・童謡・絵画活動に専念する。代表作に《ぞうさん》(1948年,団伊久磨作曲)《やぎさんゆうびん》(1953年,団伊久磨作曲)《一ねんせいになったら》(1966年,山本直純作曲)など,現在まで愛唱される作品が多数ある。皇后美智子妃の選と英訳による《どうぶつたち》(“The Animals”,1992年,安野光雅/絵)《ふしぎなポケット》(“The Magic Pocket”,1998年,安野光雅/絵)が出版され国際的にも話題になった。1992年に刊行された《まど・みちお全詩集》(理論社)の〈あとがき〉で,戦中に2編の戦争協力詩を発表していることを深く謝罪している。国際アンデルセン賞(1994年),朝日賞(1999年)など受賞多数。

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知恵蔵mini 「まど・みちお」の解説

まど・みちお

詩人。1909年、山口県生まれ。本名、石田道雄。小学生の頃に日本統治下の台湾に渡り、台北工業学校を卒業後、台湾総督府に勤務。34年、児童雑誌に投稿した作品が詩人の北原白秋に認められ、詩や童謡の創作を始める。その後、戦地への召集、復員を経て、49年から雑誌「チャイルドブック」の編集に従事。その傍ら、「やぎさんゆうびん」「ふしぎなポケット」「一年生になったら」など童謡の歌詞を手がける。59年からは詩を中心に制作し、68年に詩集『てんぷらぴりぴり』で野間児童文芸賞を受賞。94年には児童文学のノーベル賞と称される国際アンデルセン賞作家賞を日本人で初めて受賞した。その後も現役で創作活動を続けていたが、2014年2月28日、老衰のため死去した。享年104。

(2014-3-4)

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367日誕生日大事典 「まど・みちお」の解説

まど・みちお (まど みちお)

生年月日:1909年11月16日
昭和時代;平成時代の詩人;童謡詩人

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