改訂新版 世界大百科事典 「りゅう(竜)座」の意味・わかりやすい解説
りゅう(竜)座 (りゅうざ)
Draco
略号はDra。北天の大星座。北極をとりまき,おおくま座,こぐま座にはさまれ,細長く北天を半周する。ギリシア神話では,ヘスペリデスが守る金のリンゴの番人である巨竜ラドンで,英雄ヘラクレスの12の難行の一つが,このヘスペリデスの園のリンゴをとることであった。ヘラクレスは彼女たちの父アトラスの肩代りとして天球を支え,代りにリンゴをとってもらった。α星トゥバン(竜)は光度3.65等,A0型の巨星で竜の胴の中央部に当たる星だが,前3000年ころには天の北極にもっとも近い輝星であり,古代エジプトではこれが北極星の役を果たしていた。γ星エルタニン(あたま)は光度2.23等,K5型の巨星で,グリニジ天文台の天頂星であり,J.B.ブラッドリーはこの星を観測して1728年に光行差を発見した。また10月に現れるジャコビニ流星雨の放射点もこの星の近くにある。また黄道の北極はδ星の近くにある。概略位置は赤経17h0m,赤緯+60°。この星座の中心部の午後8時の南中は8月上旬である。
執筆者:石田 五郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報