アカネ(多年草)(読み)あかね

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アカネ(多年草)」の意味・わかりやすい解説

アカネ(多年草)
あかね / 茜
[学] Rubia argyi (H.Lév. et Vaniot) H.Hara ex Lauener
Rubia akane Nakai

アカネ科(APG分類:アカネ科)の多年草山野に生えるつる草で、茎は四角柱状で、下方に曲がった刺(とげ)があり、他物に絡まる。長さ2メートルほどに伸び、よく枝分れする。葉は細長い心臓形。長い葉柄があり、4枚ずつ輪生するようにみえるが、うち2枚は托葉(たくよう)である。初秋に葉腋(ようえき)から花茎を伸ばし、白色の小花を多数開く。根はよく枝分れし黄赤色で、この色から「赤根(あかね)」の名が生まれた。本州、四国、九州、さらに朝鮮半島、中国大陸中部、台湾に分布する。

 根にはプルプリンなどの赤色系色素が含まれ奈良時代から染色に用いられてきたが、染めるのに手間がかかることなどから、現在は秋田県鹿角(かづの)市など一部に伝わるにすぎない。日本に野生する近縁種にはアカネムグラR. jesoensis Miyabe et Miyakeや、オオキヌタソウR. chinensis Regel et Maack var. glabrescens Kitag.などがある。また地中海沿岸地域で栽培されるセイヨウアカネも、ヨーロッパで古くから染色に用いられてきた。漢方ではアカネの根を茜草(せんそう)または茜根(せんこん)といい、通経浄血利尿解熱止血強壮剤などに用いる。

[星川清親 2021年5月21日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android