アガシー(Jean Louis Rodolphe Agassiz)(読み)あがしー(英語表記)Jean Louis Rodolphe Agassiz

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

アガシー(Jean Louis Rodolphe Agassiz)
あがしー
Jean Louis Rodolphe Agassiz
(1807―1873)

古生物学者、地質学者。スイスのモラー湖畔で5月28日、プロテスタント牧師の家に生まれる。初めローザンヌで、のちにチューリヒハイデルベルクなどの大学で、薬学や自然科学を学んだ。学生のころから、現生魚類および化石魚類の研究に没頭し、彼の生涯の大著となった『化石魚類』Recherches sur les poissons fossiles全5巻(1833~1834)の一部を出版したことで、パリにいるキュビエフンボルト知遇を得た。1832年には若くしてノイシャテル大学教授に任命され、同大学を科学研究の中心とした。1834年に化石魚類研究のためイングランドを訪問、1836年にロンドン地質学会からウォラストン賞を授与された。同年には氷河の研究に着手し、その後10年間にスイスやイギリス、さらに南北両アメリカの氷河を研究し、氷河時代を提示し、1847年には「氷河の体系」という論文を公表した。1846年アメリカに渡り、各地で講演を行い、1847年にハーバード大学の動物学および地質学教授に任命され、1859年にはここに比較動物学博物館を設立した。この博物館への執着や動物学研究のための恵まれた環境のため、教授として招かれたにもかかわらず、ヨーロッパへ戻ることを拒み、1861年にはアメリカに帰化した。魚類をはじめ動物の研究に優れた業績を残したが、ダーウィン進化論には反対していた。なお、海洋学・動物学者のアレクサンダーアガシーは彼の息子である。

[大森昌衛]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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