アクサーコフ(Sergey Timofeevich Aksakov)(読み)あくさーこふ(英語表記)Сергей Тимофеевич Аксаков/Sergey Timofeevich Aksakov

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

アクサーコフ(Sergey Timofeevich Aksakov)
あくさーこふ
Сергей Тимофеевич Аксаков/Sergey Timofeevich Aksakov
(1791―1859)

ロシアの文学者。ロシア東部ウファー県の古い貴族出身。カザン大学を卒業しないままペテルブルグに出て立法委員会の翻訳官となる。やがてモスクワに移って1827年からモスクワ検閲委員会の検閲官となるが、1832年にキレーエフスキーの論文『19世紀』がニコライ1世の怒りに触れ、掲載誌『ヨーロッパ人』が発禁処分になった際、担当検閲官であったアクサーコフも厳重注意の処罰を受けた。翌1833年にはコンスタンチノフスク測量学校に奉職、のちには校長となるが、1843年以後は官職を退いてモスクワ郊外アブラムツェボの領地に住む。モスクワ時代には演劇評論を行い自然で写実的な演劇を求めて論陣を張ったが、作家としての活動が始まったのはアブラムツェボ時代で、おもな作品はこの地で生まれている。『釣りの記録』(1847)をはじめとする釣りや狩りの話、代表作といわれる『家族歴史』(1856)、『孫バグローフの幼年時代』(1858)、『回想記』(1858)などには、故郷の自然や人々の生活がいっさいの感傷を排した散文で描き出されており、「視覚的な写実主義者」とよばれた。なお2人の息子コンスタンチンとイワンは、スラブ主義者として有名。

[藤家壯一]

『黒田辰男訳『家族の歴史』(岩波文庫)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android