アクラガス(英語表記)Akragas

改訂新版 世界大百科事典 「アクラガス」の意味・わかりやすい解説

アクラガス
Akragas

シチリアの南海岸に前581年ころに建設されたギリシア植民都市。母市はゲラGela。前6世紀後半から農業などによって栄え,僭主テロンの時代(前488-前473)に最盛期を迎える。しかし,シチリアの征服を意図するカルタゴが前406年この都市を略奪,破壊した。前338年再建されるが,すぐにポエニ戦争渦中にまき込まれ,第2次ポエニ戦争のとき破壊される。戦後復興しアグリゲントゥムAgrigentumとなるが,以前の重要性はなくなる。現在のアグリジェントがこの地にあたり,同市の市街の南側にはヘラクレス神殿,コンコルディア神殿ヘラ神殿などと通称されるドリス式神殿や,テロン時代に着工ゼウス神殿などの遺構がのこる。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アクラガス」の意味・わかりやすい解説

アクラガス
Akragas; Agrigentum

シチリア島南西部の古代ギリシアの植民市 (アポイキア ) 。現イタリアのアグリジェント。前 580年頃ゲラの市民によって建設され,前6~5世紀僭主ファラリスやテロンのもとに繁栄した。アクロポリス上のアルカイック期神殿群の遺跡はこの時期に属し,哲学者エンペドクレスもこの市の出身である。ローマ時代にはアグリゲンツムと称し,ポエニ戦争打撃を受けたが,その後また復興し,現在までシチリアの主要都市の一つとして存続してきた。しかし,その面積は古代ギリシア時代に及ばない。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のアクラガスの言及

【アグリジェント】より

…1927年まではジルジェンティGilgenti。ギリシア植民都市時代はアクラガス,ローマ時代はアグリゲントゥムと呼ばれ,9世紀に支配したアラブ人の呼び名であるジルジェンティを経て,1927年に現在名が採用された。第2次大戦中,連合軍のシチリア上陸(1943年7月10日)にさいしての大空襲のために,壊滅的な損害を被った。…

※「アクラガス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

靡き

1 なびくこと。なびくぐあい。2 指物さしものの一。さおの先端を細く作って風にしなうようにしたもの。...

靡きの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android