アゼナ(読み)あぜな

改訂新版 世界大百科事典 「アゼナ」の意味・わかりやすい解説

アゼナ (畦菜)
Lindernia procumbens (Krock.) Borbás

田畑道端の湿った土地に生えるゴマノハグサ科の一年生の小さな雑草。茎や葉は柔らかでやや肉質。全体無毛。茎は直立するか根ぎわで分枝して斜上し,高さ5~20cm。葉は対生し,楕円形で柄がなく,先は円く鋸歯はない。長さ15~25mm,幅6~10mm,3~5本の掌状脈がある。夏から秋にかけて茎の上部にある葉のわきごとに1花をつける。花は唇形,紅紫色で長さ5mm。おしべは4本,下側の2本の花糸の基部に棍棒状の突起があり,これに虫が触れると葯が動き花粉を散らす。めしべの先は扁平な裂片に2裂し,虫が触れると急速に閉じて花粉を捕らえる。閉鎖花をつけることが多く,正常花より閉鎖花の方がよく成熟した果実を作る。北半球熱帯から温帯に広く分布する。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アゼナ」の意味・わかりやすい解説

アゼナ
あぜな / 畦菜
[学] Lindernia procumbens (Krock.) Philcox

ゴマノハグサ科(APG分類:アゼナ科)の一年草。田畑や道端のやや湿った所に生える。全体が柔らかくやや肉質。葉は楕円(だえん)形全縁で、数本のやや平行する脈がある。夏、葉のわきごとに1花をつける。花冠は唇形(しんけい)で淡紅紫色。雄しべは4本で下側の2本の基部に棒状突起がある。秋になると閉鎖花をつくる。北半球に広く分布する。帰化植物のアメリカアゼナL. dubia (L.) Pennellは葉がやや細く少数の鋸歯(きょし)がある。北アメリカ原産で日本を含め、東アジアとヨーロッパに広まっている。

山崎 敬 2021年8月20日]

 アゼナ科Linderniaceaeは熱帯から亜熱帯にかけて17属約260種が分布し、日本には4属12種が自生する。

[編集部 2021年8月20日]


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