アゾキシベンゼン(読み)あぞきしべんぜん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アゾキシベンゼン」の意味・わかりやすい解説

アゾキシベンゼン
あぞきしべんぜん
azoxybenzene

アゾキシ基-N=N(→O)-をもつ有機化合物をアゾキシ化合物と総称するが、その代表的なものの一つ。

 トランス形シス形とが存在するが、シス形は不安定なためトランス形のみを考えることが多い。トランス形構造をもつもの、シス形構造をもつものとも淡黄色結晶ニトロベンゼンを亜ヒ酸ナトリウムのアルカリ水溶液で穏やかに還元するか、アゾベンゼン過酸で酸化すると得られる。エーテルアルコールに溶けるが、水には溶けない。トランス形に光をあてると転位生成物o(オルト)-オキシアゾベンゼンとともにシス形が得られる。濃硫酸と加熱するとp(パラ)-オキシアゾベンゼンに転位する。

[谷利陸平]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

化学辞典 第2版 「アゾキシベンゼン」の解説

アゾキシベンゼン
アゾキシベンゼン
azoxybenzene

C12H10N2O(198.22).ニトロベンゼンにナトリウムメチラート,亜ヒ酸ナトリウム,またはブタンチオールを作用させて得られる.トランス形とシス形が存在するが,トランス形がより安定である.光,熱,ハロゲンによって異性化が起こる.トランス形のほうが溶媒への溶解性が高く,融点が低い.トランス形は黄色の針状晶.融点35~36 ℃.1.159.エーテル,エタノールに可溶.希硫酸で処理すると,4-ヒドロキシアゾベンゼンが得られ(p-転位),UV光を照射すると,2-ヒドロキシアゾベンゼンが得られる(o-転位).LD50 515 mg/kg(マウス雌,経口).[CAS 495-48-7].シス形はイソアゾキシベンゼンともよばれ,黄色の結晶.融点84~86 ℃.1.166.[CAS 21650-65-7].

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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