日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
アドラー(Viktor Adler)
あどらー
Viktor Adler
(1852―1918)
オーストリアの社会民主主義者。6月24日、富裕な商人の子としてプラハに生まれる。ウィーンで医学を学び、生活困窮者の医療に携わるうち社会問題への目を開いた。ドイツ、イギリスを旅行したおり、ベーベル、エンゲルスと知己になり、1885年社会民主党に入った。翌1886年ウィーンで週刊誌『平等』を創刊、1889年オーストリア社会民主党を創立、『労働者新聞』を刊行して没年までその主筆を務めた。1905年下院議員となり、1907年には帝国議会第一党の議員として平和運動を進めた。第一次世界大戦に際しては、初めこれをオーストリアの自衛戦争とみて、君主制を擁護していたが、1918年以後は諸民族の自決権を強く主張し、その結果オーストリア・ハンガリー帝国の解体に導き、自らはオーストリア共和国の樹立に参画することになった。1918年10月には外相となりドイツとの合併を進めようとしたが同年11月11日ウィーンで没した。
[中井晶夫]
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