アリゲーター(英語表記)alligator

翻訳|alligator

デジタル大辞泉 「アリゲーター」の意味・読み・例文・類語

アリゲーター(alligator)

ワニ目アリゲーター科の爬虫はちゅう類の総称。長い口の先端は丸みを帯びる。口を閉じたときに下あごの第4歯が隠れ、腹面の各鱗板りんばん小孔がない。ミシシッピーワニ・クロカイマンなど7種がある。
[類語]わにガビアルクロコダイルカイマン

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精選版 日本国語大辞典 「アリゲーター」の意味・読み・例文・類語

アリゲーター

〘名〙 (alligator) アリゲーター科のワニ。口の幅が広く、その先端が丸い。体長六メートルに達するものもあるが、普通はそれよりも小さい。北アメリカ南東部から南アメリカ分布するアメリカアリゲーターと、中国揚子江流域にすむヨウスコウアリゲーターがある。→クロコダイル

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改訂新版 世界大百科事典 「アリゲーター」の意味・わかりやすい解説

アリゲーター
alligator

比較的おとなしいアリゲーター科Alligatoridaeに属するワニの総称。北アメリカの南東部,中央および南アメリカ(ラ・プラタ川流域まで)と,中国の長江(揚子江)下流域に分布。ヨウスコウワニAlligator sinensis(全長2m)1種だけが他とかけ離れてアジア大陸に分布するが,ヨーロッパ,アメリカ大陸から同系統のワニ化石種が発見されており,過去における連続分布が推測できる。

 アリゲーター科は頭骨,鱗板などの構造の相違により,アリゲーター類,カイマン類の2群に分けられる。前者はヨウスコウワニとミシシッピワニA.mississippiensisの2種からなる。ミシシッピワニはアリゲーター類の最大種で,ミシシッピ川下流域からメキシコ湾沿岸およびフロリダ半島淡水生息する。全長3~4m,最大6mに達するが,現在では大きな個体はほとんど見られなくなった。体背面は青みがかった黒褐色で老熟した個体ほど黒くなり,幼体には黄色の帯模様がある。頭部は幅広く扁平で,吻(ふん)部が丸みを帯びる。腹鱗板では皮骨板の発達が弱いためなめし革につごうよく,皮革用として乱獲された結果生息数が激減し,現在は保護下に置かれている。性質はおとなしく人に危害を加えることはない。餌は魚類のほか,水鳥や小動物。繁殖期は6月ごろで,雌は水辺に泥と小枝や草を集めて直径2m,高さ1mほどの巣をつくり,中に産卵する。卵は15~80個ほどで大きさは7.5cm×4cm,2~3ヵ月で孵化(ふか)し,それまで雌が巣のそばで守る。母ワニは母性愛が強く,翌春まで子ワニとともに過ごして魚などの餌を与えながら保護する。子ワニは全長15cmほどで,1年後には30cmに育ち,6年くらいで成熟する。カイマンcaimanは5種がメキシコ南部から熱帯アメリカに分布し,大半が2m前後の小型で,とくにコビトカイマンブラジルカイマンは平均1.5mほど。しかしクロカイマンは全長3~4m,最大5mに達する大型で,性質も荒くアリゲーターでは唯一の危険種。メガネカイマン(全長1.5~2.7m)はペットとして日本でも多数が飼育されている。
カイマン →ワニ
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アリゲーター」の意味・わかりやすい解説

アリゲーター
ありげーたー
alligator

爬虫(はちゅう)綱ワニ目アリゲーター科に属するワニの総称。同科Alligatoridaeのものは性質が比較的おとなしい。頭部が幅広くて吻端(ふんたん)が円みを帯び、口を閉じたとき下あごの歯は、上あごの歯の内側に隠れて外からみえない。頭骨や鱗板(りんばん)の構造の違いによって2群に分けられ、アリゲーター亜科には1属2種、カイマン亜科には3属5種が含まれる。アリゲーター属のうち、ヨウスコウワニAlligator sinensisは全長2メートル、アリゲーター科の他種とかけ離れて中国の揚子江(ようすこう)下流域に分布している。しかし、ヨーロッパ、アメリカ大陸から本種に近いワニ化石種が発見されており、過去における連続分布が推測できる。アメリカ合衆国のミシシッピ川下流域からメキシコ湾沿岸およびフロリダ半島の淡水に生息するミシシッピワニA. mississippiensisはアリゲーター科のなかで最大の種で、全長2~4メートル、最大は6メートル近くになるが、大きな個体は著しく減少している。性質はおとなしく、雌は水辺に塚の巣をつくって産卵し、卵の保護から育児までめんどうをみる。カイマン亜科はメキシコ南部から熱帯アメリカに分布し、大半が2メートル前後の小形である。とくにコビトカイマンPaleosuchus palpebrosusとブラジルカイマンP. trigonatusは全長1.2メートルほどにすぎない。しかし、クロカイマンMelanosuchus nigerは全長3~4メートル、最大5メートルに達する大形で、アリゲーター科では唯一の危険種である。子ワニがペットにされるメガネカイマンCaiman crocodilusは中央・南アメリカに広く分布し、4亜種に分けられている。

[松井孝爾]


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百科事典マイペディア 「アリゲーター」の意味・わかりやすい解説

アリゲーター

アリゲーター科に属するワニの総称。ミシシッピワニとヨウスコウワニの2種からなるアリゲーター亜科とメガネカイマンなど5種からなるカイマン亜科に分かれる。最大種ミシシッピワニは北米のミシシッピ川流域やフロリダに生息。吻(ふん)の幅が広く吻端は丸みを帯びる。下顎の歯は上顎内側にかみ合わされ,口を閉じると見えない。体長3〜4m,最大6mに達する。性質はおとなしく動作は鈍いので危険性は少ない。皮革用として乱獲された結果,生息数が激減し,現在は保護下に置かれている。→カイマンクロコダイルワニ

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アリゲーター」の意味・わかりやすい解説

アリゲーター

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世界大百科事典(旧版)内のアリゲーターの言及

【ワニ(鰐)】より

…ワニ目Crocodiliaに属する水陸両生の大型爬虫類の総称。世界の熱帯,亜熱帯に分布し,少数が温帯地方にも及んでいる。2科9属23種に分けられる。
[形態]
 ワニ類は水中生活に適応した形態をしており,体は細長くやや扁平で,尾部は長く強大で側扁する。頭部は大きく吻部(ふんぶ)は長く扁平で,隆起した吻端上面には1対の外鼻孔が開口する。眼は大きくて突出し,体を水中に沈めたときには,外鼻孔,眼,耳孔だけが水面上に出る。…

【ワニ(鰐)】より


[系統,分類]
 ワニの祖先型は三畳紀後期の槽歯類から分化し,中生代に繁栄して海洋性を含む多くの大型種が出現した。現生種の分類には諸説があるが,内鼻孔,歯列,鱗板などの構造の相違によって,アリゲーター科Alligatoridaeとクロコダイル科Crocodylidaeの2科に分類されることが多い。アリゲーター科には,ヨウスコウワニ,ミシシッピワニ,メガネカイマン(イラスト),クロカイマンなどが,クロコダイル科にはイリエワニ,ナイルワニ,ガビアル(イラスト),ヌマワニ,アメリカワニなどが含まれる。…

※「アリゲーター」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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