アレルギー性疾患の総論

内科学 第10版 「アレルギー性疾患の総論」の解説

アレルギー性疾患の総論(アレルギー性疾患)

 アレルギー(allergy)とは,1906年Von Pirquetによって,ギリシャ語のallos(alter)とergonaction)とを語源に提唱された“反応能力が変化している”という意から発している.その変化とは,量的関係が増強された場合を過敏状態(hypersensitivity)として,これがアレルギーと把握される.アレルギーとは生体における免疫反応の一側面であり,抗原抗体反応が生体に及ぼす作用は防御と過敏性で表され,前者は生体にとって有利な反応であり免疫反応とよばれ,後者は生体にとって不利な反応でアレルギー反応とよばれるわけである.換言すれば,アレルギーとは,過剰な免疫反応により細胞,組織,臓器傷害を受ける病的現象のことであり,遺伝的素因と環境因子による相互作用にて惹起される.したがって,免疫反応もアレルギー反応も抗原抗体反応という1つの線上に存在しており,これが生体にとって有利であるかという1点が異なるわけである.[茆原順一]
■文献
茆原順一:好酸球が語るアレルギーの臨床と分子病態.アレルギー,59: 943-949, 2010.
伊藤 亘,茆原順一:アレルギー疾患診断の進め方.医学薬学,55: 15-21, 2006.
Palomares O, Yaman G, et al: Role of Treg in immune regulation of allergic diseases. Eur J Immunol, 40: 1232-1240, 2010.

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報

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