日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
アレン(Richard Allen)
あれん
Richard Allen
(1760―1831)
アメリカのアフリカ・メソジスト監督教会の創立者で、初代監督。奴隷制廃止運動指導者。2月14日フィラデルフィアで奴隷の子として生まれる。1781年ごろ自由人となり、同市の聖ジョージ・メソジスト教会で布教に従事したが、人種差別に抗して、1787年アブサラム・ジョーンズAbsalom Jones(1746ころ―1818)らと自由アフリカ協会を結成した。アレンは1794年、黒人メソジストのためにベセル教会を同市に建てた。同教会の支配権をめぐる白人との確執や奴隷制に関する意見の相違などから、1816年、全国的組織としてアフリカ・メソジスト監督教会を創設した。同教会は、黒人の道徳と生活の向上、逃亡奴隷の援助、奴隷制とアメリカ植民協会の批判に大きな役割を演じ、最強の黒人組織の一つに成長した。1831年3月26日没。
[小池関夫]