アンダーソン(読み)あんだーそん(英語表記)Laurie Anderson

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

アンダーソン(Laurie Anderson)
あんだーそん
Laurie Anderson
(1947― )

アメリカのパフォーマンス・アーティスト。シカゴ生まれ。幼いころからバイオリン演奏を行った。1966年ニューヨークのバーナード・カレッジに入学し美術史を学んだ後、コロンビア大学大学院で彫刻を学び1972年に卒業。その後美術史の講師を務めるかたわら、美術評論などの活動も行うと同時にバイオリン演奏を伴ったパフォーマンスを始める。
 1973年、ブルックリン・アカデミー・オブ・ミュージックで行われた12時間におよぶ音楽と映像を使ったパフォーマンス『ヨシフ・スターリンの生活と時間』によりアンダーソンの名は広く知られるようになった。従来の劇場公演が、基本的に音楽と演劇、ダンスといった「ジャンル」に分かれていたのに対し、この作品はこうした垣根を取り払った「パフォーマンス」として注目を集めた。1950年代からニューヨークのアート・シーンでは、徐々にそうした脱ジャンル的な動きがあったが、視覚的な面や聴覚的な面、つまり、ビジュアルからサウンドまで文字どおり1人のアーティストがコントロールし、コーディネートしたという意味で、『ヨシフ・スターリンの生活と時間』は画期的だった。しかもこの時点でアンダーソンは弱冠23歳だった。以後、アンダーソンは、バイオリンを弾き、踊り、歌い、語り、演じ、という多様な「パフォーマンス」のスタイルを確立する。
 そして1981年シングル「オー・スーパーマン」がイギリスのヒット・チャート2位になる。実際のパフォーマンスの場では、コンサートやショーを大きくはみだし、トータルな表現が練られるのが常だった。巨大なスクリーンに映し出されるスライドやフィルムをバックに、胸や四肢を叩(たた)くとさまざまな音がするドラム・スーツを着用、エレクトリック・バイオリンを奏(かな)で、テープ・ボウ・バイオリン(弓と弦の代わりに磁気テープと再生ヘッドを備えた電子バイオリン)でホール全体を宇宙空間に放り出すようなサウンドを響かせる。ストロボが点滅し、踊り、ボコーダーを通した声で、いくつもの言語で歌い、語る。テクノロジーを最大限に活用しつつも、アンダーソン自らが「そこ」にいて、音を発し、動いていることで身体性を強調する。ここでパフォーマンスに接する観客は、人間の身体がテクノロジーと共存し、共生していくさまを感じとる。
 その後ニューヨークに拠点を移して活動を続け、バイオリン、自作の楽器、CG、舞踊、詩などさまざまな表現手段を用いて、視覚的な要素と音響的な要素をマルチに表現する彼女のパフォーマンスは世界的な人気を得た。
 代表的なアルバムに『ビッグ・サイエンス』Big Science(1982)、『ミスター・ハートブレイク』『ユナイテッド・ステイツ・ライブ』United States Live(ともに1984)、『ストレンジ・エンジェルズ』Strange Angels(1989)、CD-ROM『パペット・モーテル』Puppet Motel(1995)などがある。『ブライト・レッド』(1994)は、ブライアン・イーノがプロデュース、舞踊家でパントマイム・アーティストのアート・リンゼーArto Lindsay(1953― )らも参加している。
 その後制作されたCD‐ROM作品では、ライター、音楽家、パフォーマー、写真家をアンダーソンがひとりでこなしている。[小沼純一]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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