アンダーソン(Maxwell Anderson)(読み)あんだーそん(英語表記)Maxwell Anderson

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

アンダーソン(Maxwell Anderson)
あんだーそん
Maxwell Anderson
(1888―1959)

アメリカの劇作家。巡回牧師を父としてペンシルベニア州に生まれる。中西部で教育を受けたのち、カリフォルニアで大学の教職につく。第一次世界大戦中に、平和主義を表明して教職、新聞の論説員の職を追われる。1918年ニューヨークに出て劇作を始め、『ホワイト・デザート』(1923)以来死の前年まで、主として社会的関心の強い38の戯曲を発表した。軍隊の内部から大戦の現実をあばいた出世作『栄光なんぞ』(1924・共作)以後、ピュリッツァー賞受賞の政治風刺劇『上院下院も』(1933)、第二次大戦前後の反戦・反ナチ劇など、リアリズム劇を書く。その一方で彼が興味を向けたのは、現代の詩劇という問題であった。『エリザベス女王』(1930)、『スコットランドのメリー女王』(1933)の成功をきっかけとした一連の歴史劇をはじめ、第1回、第2回ニューヨーク劇評家賞受賞作『ウィンターセット』(1935)、『高台』(1937)などアメリカ社会の問題を扱った作品がある。これらの詩劇は、評論集『悲劇の本質・ほか』(1939刊)で展開した理想主義的演劇論とともに、彼のロマンチシズムの特徴が発揮されている。

[楠原偕子]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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