日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
アーチャー(William Archer)
あーちゃー
William Archer
(1856―1924)
イギリスの演劇評論家、劇作家。エジンバラで新聞記者となり、1878年ロンドンに出て、以後定期刊行誌をおもな舞台に劇評その他の分野で活躍した。近代リアリズム演劇の熱心な擁護者で、俳優の勝手な演技をいましめ、戯曲が中心であるべきことを説いた。バーナード・ショーと親交があり、またイプセンに心酔してその戯曲を英訳してイギリス演劇界に紹介した。アーチャー自身も数編の戯曲を書いたが、メロドラマ風の『緑の女神』(1921)は興行的に大成功を収めた。『新旧演劇比較論』(1923)などの評論集や国民劇場設立運動により、19世紀末から20世紀前半のイギリス演劇界に大きな影響を与えた。
[中野里皓史]