世界大百科事典 第2版「イブン・ハウカル」の解説 イブン・ハウカル【Ibn Ḥawqal】 10世紀の地理学者。イスラム教徒で,ジャジーラ地方のニシービーン出身ということ以外には,伝記,生没年ともに不詳。10世紀のイスラム世界をスペイン,シチリアからマー・ワラー・アンナフルまで広く旅行した。おそらくは商業にも携わっていたのであろう。彼の地理学の主著《道里および諸国記》は,イスタフリーの同名の著を基礎としつつ,彼自身の経験・観察も取り入れた地理学史上の重要な著作で,同時代の各地の経済状態については特に貴重な情報を含んでいる。 出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報