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イブン・ハルドゥーン Ibn Khaldūn

世界大百科事典 第2版の解説

イブン・ハルドゥーン【Ibn Khaldūn】

1332‐1406
イスラム世界を代表するアラブの歴史家。チュニス生れ。祖先は南アラブ系でセビリャの支配貴族であったが,13世紀半ばにチュニスに亡命した。幼くして諸学を修めた後,北アフリカ,イベリア半島の諸スルタンに仕え,波乱万丈の政治生活を送ったが,その悲哀を感じて隠退するとともに,膨大な《歴史序説al‐Muqaddima》と世界史に当たる《イバルの書Kitāb al‐‘ibar》を著した。1382年,マムルーク朝下のカイロに移住し,学院の教授になったり,マーリク派の大カーディーとして裁判行政に尽くしたりしたが,その間,ティムールの西アジア遠征に対する防衛軍に加わり,ダマスクス郊外でティムールと会見したことがある。

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世界大百科事典内のイブン・ハルドゥーンの言及

【アラビア科学】より

…それはアラビア世界が東西から政治的に圧迫されつつも,なおその科学文化の最後の光芒を放つ晩期である。この時期を代表する学者として3人をあげれば,イブン・ルシュド(ラテン名アベロエス)とナシール・アッディーン・アットゥーシーイブン・ハルドゥーンであろう。イブン・ルシュドは,12世紀にアリストテレスの著作の全貌がようやく西欧世界にわかりかけてきたときに,すでに膨大なアリストテレス注釈を書き,ラテン世界にアベロエス派なるものをつくり出して甚大な影響を与え,近代科学思想の形成に大きく貢献した。…

【織工】より

…こうした状況は職人たちに大きな不安を生み,1378年にはフィレンツェではチョンピの乱が起こり,最下層労働者が短期間ではあるが市政に参加する権利をかちとったのである。【阿部 謹也】
[中東]
 14世紀の歴史家イブン・ハルドゥーンは《歴史序説》のなかで,織物技術を二つに分けて理解する。一つは糸紡ぎと機織,もう一つが裁縫術である。…

【旅】より

…他の学問においても,各地の評判の高い学者を訪ね教えを乞うことは盛んに行われた。14世紀の歴史家イブン・ハルドゥーンも,学問の研鑽の最高の方法は,各地の偉大な学者から教えを乞うために旅をすることだと述べている。多くのウラマーにとって,学問を求める旅は特別のことではなく,普通の生活の一部となっていた。…

【歴史】より

…ギリシア語の史書がアラビア語に翻訳された事例はないが,時間と空間との両軸において未知の広い世界を探ろうとする試みは,明らかにギリシア的精神を継承する。マスウーディーも歴史についての抽象的な考察を行っているが,一歩進めて歴史発展の法則性を探ろうとしたのがイブン・ハルドゥーンで,大著《歴史序説》を残した彼は前近代における世界で最も独創的な歴史家といわれる。
[伝記と年代記の伝統]
 他方イスラム教徒は,預言者ムハンマドの範例・慣行(スンナ)をその伝承(ハディース)の研究を通じて知ろうとした。…

※「イブン・ハルドゥーン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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