イブンマージド(英語表記)Ibn Mājid

改訂新版 世界大百科事典 「イブンマージド」の意味・わかりやすい解説

イブン・マージド
Ibn Mājid

15世紀半ば,インド洋航海の水先案内人mu`allimとして活躍した。生没年不詳。彼の父と叔父もまた有名な水先案内人であった。航路・方位指針・天文・測地法などに関する22種類の著書が知られている。これらの著書は,いわばインド洋を舞台として数千年にわたって活躍してきたアラブ・ペルシア系航海民のもつ航海知識を精練し集大成したものであって,その高度な航海技術と精緻で詳細な地理的知識には驚くべきものがある。彼は1498年,バスコ・ダ・ガマの率いるポルトガル艦隊を東アフリカマリンディからインドのカリカットまで案内したといわれるが,その事実は不明である。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のイブンマージドの言及

【インド洋】より

…ビールーニーal‐Bīrūnī(11世紀)になると,この東への延びは半島規模に縮小され,インド洋と大西洋を結ぶ水路の存在がアフリカ南部に予測されている。そしてバスコ・ダ・ガマのインド洋横断の水先案内人を務めたといわれるイブン・マージドは,それ以前にすでに上述の水路の存在をより明確に予測していた。12世紀以後の中国の地理書はアラブからの情報などをもとにマダガスカル島あたりまでの東アフリカ沿岸をかなりよく記しており,15世紀初頭の朝鮮の世界地図ではアフリカは南をさし,ほとんど正確な三角形となっている。…

※「イブンマージド」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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