イリ(伊犁)盆地(読み)イリぼんち(英語表記)Ili pendi

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「イリ(伊犁)盆地」の意味・わかりやすい解説

イリ(伊犁)盆地
イリぼんち
Ili pendi

中国北西部,シンチヤン (新疆) ウイグル (維吾爾) 自治区北西部のイリ川流域に形成されている盆地。上流のカーシー (喀什) 川,キュネス (鞏乃斯) 川,テケス (特克斯) 川の谷も含まれる。テンシャン (天山) 山脈の主脈であるハルクタウ (哈爾克他烏) 山脈と北側の支脈のボロホロ (婆羅科努) 山脈にはさまれ,西はカザフスタンとの国境にいたる。西方から湿気を含んだ偏西風が吹込むため,年降水量は西部で 280mm,東部で 500mmに達し,南北の高山からの雪どけ水によって河川の流量も多い。またシベリアからの寒波がさえぎられるために,月平均気温は-11℃ (1月) ,24.5℃ (7月) と比較的温和である。肥沃耕地と牧草地が広がり,自治区の穀倉をなし,また優良な家畜を産する。地下資源も豊富で,中心都市のクルジャ (固爾札) 市には近代的な工場が立地している。古くは天山北路の一部で,遊牧民に争奪された。清代に中国領となり,下流域は 1881年イリ条約によってロシアに割譲された。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android