日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
イワーノフ(Vsevolod Vyacheslavovich Ivanov)
いわーのふ
Всеволод Вячеславович Иванов/Vsevolod Vyacheslavovich Ivanov
(1895―1963)
ソ連の小説家、劇作家。シベリアの小学校教師の家に生まれる。小学校卒業後、印刷工、荷揚げ人夫、船員、サーカス団員など種々の職業につきながら国内各地を放浪、1917年には赤軍に入って戦闘に参加する。15年から作品を発表し、ゴーリキーに激励された。文学グループ「セラピオン兄弟」の有力メンバーになり、国内戦時代の複雑な体験を投影させた中編『パルチザン』(1921)、『装甲列車14‐69号』(1922)で大きな反響をよぶ。後者は27年作者の脚色によりモスクワ芸術座で初演され、ソ連演劇の古典になっている。ほかに回想『ゴーリキーとの出会い』(1947)など。
[中本信幸]
『黒田辰男訳『装甲列車14‐69号』(青木文庫)』