インクィリヌス(読み)いんくぃりぬす(英語表記)inquilinus ラテン語

日本大百科全書(ニッポニカ) 「インクィリヌス」の意味・わかりやすい解説

インクィリヌス
いんくぃりぬす
inquilinus ラテン語

古代ローマの借家人。大きな屋敷を借りる富裕者も共同住宅に住む貧民もこの名でよばれた。帝政前半期から、ある種の農場労働者をもさしたが、その実態については、帝国内に移住させられた蛮族、小屋住み奴隷など、さまざまな説がある。これらの農場住民は、史料に現れる当初から、移動の自由を大幅に失っていた。帝政末期のコロナート制のもとでは、土地に登録されたコロヌスと並んで移住の自由を奪われているが、コロヌスとの差異がどこにあったのかについては、さまざまな説があり、いまだ断定できない。

坂口 明]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android