インゲンホウス(読み)いんげんほうす(英語表記)Jan Ingenhousz

日本大百科全書(ニッポニカ) 「インゲンホウス」の意味・わかりやすい解説

インゲンホウス
いんげんほうす
Jan Ingenhousz
(1730―1799)

オランダ医者植物生理学者、化学者ブレダに生まれ、ライデン大学、パリ大学などで学んだ。1772年オーストリアの女王マリア・テレサ(テレジア)の侍医となり、さらにウィーンの宮廷会議のメンバーとなった。1779年以後はロンドンに永住、王立協会の会員にも選ばれた。植物生理学の実験を行い、植物界と動物界のつり合いや、植物の浄化作用炭酸同化作用・呼吸作用などについて研究した。『植物実験』(1779)、『植物の呼吸作用』(1786)ほかの著書がある。

西田 誠]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「インゲンホウス」の意味・わかりやすい解説

インゲンホウス
Ingenhousz, Jan

[生]1730.12.8. ブレダ
[没]1799.9.7. ウィルトシャー,ボーウッド
オランダの生理学者,医者。ルーフェンのカトリック大学とライデン大学で学び,ロンドンで開業 (1765~68) 。のちオーストリア皇后マリア・テレジアの侍医としてウィーンに住む (72~79) 。 1779年イギリスに戻る。種痘の技術にすぐれていたことで医者としての名声を高めた。植物によって空気が浄化されることは,すでに J.プリーストリーによって発見されていたが,インゲンホウスはそれを発展させ,空気を浄化するのは緑色部分のみであること,またそれには光が必要であることを明らかにした (79) 。ほかに大型の静電発電器の考案 (66) ,金属熱伝導の定量的研究 (89) なども知られている。主著『植物に関する実験』 (79) 。

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改訂新版 世界大百科事典 「インゲンホウス」の意味・わかりやすい解説

インゲンホウス
Jan Ingenhousz
生没年:1730-99

オランダの医師,科学者。オランダのブレダに生まれ,ヨーロッパ各地の大学で医学を学ぶ。1765年ロンドンに行き多方面の学者と知りあい,72年オーストリアのウィーンで皇室の侍医となる。79年再びロンドンに帰り永住する。《植物に関する実験》(1779)で緑色植物ガス交換と光の関係を明らかにした。牛痘法の普及に尽力し,電気,磁気など物理学関係の業績もある。
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世界大百科事典(旧版)内のインゲンホウスの言及

【農学】より

…植物の光合成に関する研究である。イギリス人牧師J.プリーストリー(1733‐1804)は,1770年代に植物は〈空気を純化する〉(O2発生)とし,オランダ人でオーストリア宮廷医師J.インゲンホウス(1730‐99)は植物のO2発生は緑色の葉,茎だけが行うことを明らかにした。スイス人牧師スヌビエJ.Senebier(1724‐1809)はO2が発生するにはCO2の存在が必要であるとし,スイス人ソシュールN.T.de Saussure(1767‐1845)は植物の緑色部分に光を照射すると,CO2とH2Oから有機物が合成されることを証明した。…

※「インゲンホウス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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