インバネス(衣服)(読み)いんばねす(英語表記)inverness

日本大百科全書(ニッポニカ) 「インバネス(衣服)」の意味・わかりやすい解説

インバネス(衣服)
いんばねす
inverness

インバネス・ケープinverness capeまたはインバネス・コートinverness coatのこと。身頃(みごろ)にケープのついた袖(そで)なし外套(がいとう)。ケープは肘(ひじ)を覆ってゆったりしたもの。襟は首にぴったりしていて防寒役割を果たしている。19世紀のなかばごろ、男子が着ていたパルトー・ケープpaletot capeにこの名がつけられた。もともとスコットランド北部のインバネス地方で着られていたことにちなんだといわれる。日本では明治初年に輸入され、和服の上に着用しやすい形に考案されて、「とんび」「二重まわし」とよばれて流行した。男子の和服用防寒外套として羅紗(らしゃ)、厚地ウールなどで仕立てられ、かなり広く一般に用いられたが、男子の和服姿の減少とともにみられなくなった。

[菅生ふさ代]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「インバネス(衣服)」の意味・わかりやすい解説

インバネス(衣服)【インバネス】

19世紀の男子用コート。丈(たけ)の長い身ごろに,袖(そで)の代りにケープの付いたもの。もとスコットランドのインバネス地方で用いられたものといわれる。日本には明治初年に輸入され,和服用に改良されて,二重回し,とんびなどと呼ばれた。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

今日のキーワード

黄砂

中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...

黄砂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android