インフレターゲット

デジタル大辞泉 「インフレターゲット」の意味・読み・例文・類語

インフレ‐ターゲット

inflation targeting各国政府または中央銀行が定める目標物価上昇率のこと。採用のしかたは国によって異なり、目標に掲げる国、望ましい水準として示す国、公表しない国に大別される。デフレには弊害がある一方、物価には安定が求められるため、一般にプラス2パーセント程度が目安となる。

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百科事典マイペディア 「インフレターゲット」の意味・わかりやすい解説

インフレターゲット

物価の下落傾向に歯止めをかけ,デフレスパイラルから脱却するために一定の物価上昇率すなわちインフレターゲットを目標設定してその目標を達成するまで金融を緩和すること。先進経済国でインフレ目標を経済政策として設定している場合があるが,いずれもインフレ抑制のための目標で,デフレ克服として金融緩和と結びつけて導入している国はない。日本銀行日銀)は従来インフレターゲット導入に否定的な立場をとってきたが,2012年12月に成立した第二次安倍晋三内閣は日銀にさらなる金融緩和を迫り,2013年3月,総裁に就任した黒田東彦はこれまでの方針を転換,2%の物価目標というインフレターゲットを実現し,安定的に持続させるために,大胆な量的緩和などを骨子とする金融緩和策を打ち出し,マネタリーベース(日銀から金融機関に流す金)を2012年末の138兆円から2014年末には270兆円と一気に倍増させると発表した。中央銀行がインフレに導くために貨幣供給量を増やし続ければ,デフレからの脱却は可能となるが,いったんインフレに転じた場合政策的にそれを抑えることは難しく,物価上昇は続き景気は回復せず失業率も上昇する,というスタグフレーションに陥る可能性があるという懸念も根強く存在している。2014年2月の全国消費者物価指数は生鮮食品を除くと前年比で1.3%の上昇となった。しかし,その後の消費増税に,原油価格下落などの影響が加わり,日銀目標としていた2年で2%上昇を達成するのは困難な見通しとなった。これを踏まえて日銀は2014年10月末,さらに30兆円の追加緩和策を発表した。
→関連項目安倍晋三アベノミクス

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ASCII.jpデジタル用語辞典 「インフレターゲット」の解説

インフレターゲット

一定の物価上昇を目指した金融政策の手法。あらかじめインフレ率に目標値を設定しておき、その目標を達成するように紙幣の発行を増やすなどの金融政策を中央銀行が実施すること。海外ではイギリスやカナダなどが、物価の高騰を抑える手段として実施した例があったが、デフレを食い止める金融政策として有効かどうかの判断は見方が分かれている。このため、十数年続いた日本のデフレ状態の脱却を図る金融政策としてにわかに脚光を浴びた時期もあったが、日本銀行がその採用に慎重な態度を崩さなかったことで実施には至っていない。

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