ウィシンスキ(英語表記)Wyszyński, Stefan

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ウィシンスキ」の意味・わかりやすい解説

ウィシンスキ
Wyszyński, Stefan

[生]1901.8.3. ロシア帝国,ズジェラ
[没]1981.5.28. ポーランドワルシャワ
ポーランドの聖職者カトリック教会のグニェズノ大司教,ワルシャワ大司教,ポーランド首座司教。ワルシャワ,ウォムジャ,ウウォツワウェクで教育を受け,1924年8月3日司祭叙階を受けてウウォツワウェクのバシリカ聖堂に着任。ルブリン・カトリック大学で社会学と教会法の学位を取得後,フランス,イタリア,ベルギーで学んだ。帰国後,1935年にキリスト教労働者大学を創設し,1939年まで学長を務めた。その後教区を去るようミハウ・コザル司教に命じられ,ナチス・ドイツによる迫害を逃れた。1945年3月ウウォツワウェクに神学校長として帰還。1年後ルブリン司教に任命され,1948年11月12日ローマ法王ピウス12世によってグニェズノ大司教,ワルシャワ大司教(属人)に任じられた。1952年11月29日枢機卿(カーディナル)に親任。共産主義政権との共存協定に調印したが,体制による迫害行為に教会の権威を貸すことは拒絶した。1953年,反政府活動に従事した聖職者を罰する教会の誓約に違反したかどで自宅軟禁となったが,1956年ウワディスワフ・ゴムウカ政権が発足してまもなく釈放された。ゴムウカとの間で,教会の幹部職の任命にはポーランド統一労働者党承認を求めることを条件に,公立校で宗教指導を許可するという合意をまとめた。教義上は保守強硬派で,1978年ヨハネス・パウルス2世の法王選出に重要な役割を果たした。「1000年に 1人の大司教」と呼ばれた。

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