ウィリアムソン(アメリカの経済学者 Oliver E. Williamson )(読み)うぃりあむそん(英語表記)Oliver E. Williamson

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ウィリアムソン(アメリカの経済学者 Oliver E. Williamson )
うぃりあむそん
Oliver E. Williamson
(1932―2020)

企業統治研究を専門とするアメリカの経済学者。1932年、アメリカのウィスコンシン州スペリオル市生まれ。マサチューセッツ工科大学を卒業し、スタンフォード大学MBA、カーネギー・メロン大学で経済学博士号をそれぞれ取得。エール大学教授などを歴任し、カリフォルニア大学バークリー校教授を務める。「経済統治economic governance、とくに企業の境界の分析」における卓越した業績により、2009年のノーベル経済学賞を受けた。アメリカの政治・経済学者、エリノア・オストロムとの共同受賞。政府による規制に頼らなくても、「市場の失敗」を補完する経済統治という仕組みがあることを解明した。

 企業取引はすべて市場を介するわけではなく、大企業内や系列取引など多様な形態がある。ウィリアムソンは市場取引と企業内取引(企業統治)がいかなる場合に発生するかを取引コストの観点から分析。数多くの事例を踏まえ、複雑なため事前に完全な契約を結ぶことがむずかしく、交渉決裂のコストが大きな取引は、市場よりも企業内取引で行うほうが望ましいという理論予想を構築した。同理論はその後、定式化が進み、契約の経済理論や組織の経済学の発展に寄与した。

[矢野 武]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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