ウォッシュアンドウェア(英語表記)wash and wear

改訂新版 世界大百科事典 「ウォッシュアンドウェア」の意味・わかりやすい解説

ウォッシュ・アンド・ウェア
wash and wear

洗濯してすぐ着られること。イージーケアeasy careともいう。洗濯したとき,乾燥がはやく,乾燥したものがもとの寸法,形状を保ち,洗濯時についた小じわもとれ,アイロン掛けをしなくてもそのまま使用できることをいい,家事省力化のために繊維に要求される性質の一つである。ポリエステルなどの疎水性合成繊維は水で膨潤せず,湿潤時でも弾性回復性がよいので,優れたウォッシュ・アンド・ウェア性を示す。これに対し,綿などの親水性繊維からなる布は,洗濯し乾燥したときに収縮したり小じわが残る。綿あるいは綿混紡の布を橋架け剤で処理し,乾時のしわ回復性ばかりでなく湿潤時のしわ回復性を向上させる加工をウォッシュ・アンド・ウェア(W & W)加工といい,乾時のしわ回復性の向上を目的とした防しわ加工の発展したものである。繊維の非膨潤状態だけでなく,膨潤状態でも橋架け結合を生成させることに特徴がある。W & W加工した布は,縫製時にプリーツなどの必要な形状を付与することが困難であるという欠点があり,縫製時に型付けできるようなパーマネントプレスpermanent press(PP)加工が開発された。処理剤を多く用いるPP加工では繊維の強度低下が著しいため,主として綿ポリエステル混紡の布を加工対象としている。また,洗濯時にいったん布から落ちた油性汚れが布を再汚染する現象を防ぐため,ソイルリリースsoil release(SR)加工と組み合わせてPP加工された。W&W加工やPP加工には,ホルムアルデヒド発生の少ないジメチロールジヒドロキシエチレン尿素が主として用いられた。1993年に日本で,洗濯の後,アイロン掛けをまったく要しないワイシャツが売り出されて人気を集めた。液体アンモニアマーセリゼーションして繊維性能を改善した綿あるいはポリエステル混織物を樹脂で加工したものと,綿ポリエステル混織物を気相でホルムアルデヒド処理したものの2種類があり,どちらも,縫製した後,吊しの状態で最終的に架橋化してその形態を固定するという点で,パーマネントプレス加工と異なる。これらの加工法は形態安定加工という呼名に統一された。ウォッシュ・アンド・ウェア加工の目標を達成したものである。
防汚加工 →防しわ加工
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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