日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ウォルポール(Sir Robert Walpole, 1st Earl of Orford)
うぉるぽーる
Sir Robert Walpole, 1st Earl of Orford
(1676―1745)
イギリスの政治家。ノーフォーク州の地主の家に生まれ、1701年庶民院議員に初選出。政界入り直後から海軍長官、海軍大臣などを歴任、敏腕なホイッグ党員として活躍した。ジョージ1世即位後は大蔵省主計長官の要職についたが、ホイッグ党内の内紛により一時下野した。しかし、1720年の南海泡沫(ほうまつ)事件を機に大蔵大臣兼財務長官に任ぜられ、その事後処理にあたって信頼を集め、以後1742年まで20余年間この職にあって事実上の首相として政権を担当した。
対外的には一貫して平和政策をとり、国内では健全財政を維持したため、当時の経済的繁栄と相まって社会は安定した。議会運営、人事、財政いずれにも卓抜した手腕を振るい、通説では責任内閣制の創始者とされるが、議会に対する閣僚の連帯責任という慣例は当時は定着しておらず、大臣は個人として国王にのみ責任を負うにすぎなかった。むしろ大規模な買収、腐敗行為も政権維持のためにはあえていとわず、その非難の表明として「首相」とよばれたほどであった。
[大久保桂子]
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