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ウクライナへのガス供給停止 うくらいなへのがすきょうきゅうていし

知恵蔵の解説

ウクライナへのガス供給停止

ロシアとウクライナは天然ガスの価格をめぐって2005年に交渉を続けたが折り合いがつかず、06年1月1日ロシアがウクライナへの天然ガス供給を停止した。ロシアは天然ガスの値段を千立方メートルあたりそれまでの50ドルから230ドルに値上げしようとしたが、ウクライナはこれを拒否、ロシアがガスの元栓を締めたのである。ウクライナ経由でロシアのガスを購入している欧州諸国にも被害が出て国際的批判を浴び、ロシアは同月3日に供給を再開した。ガス戦争とも呼ばれるこの事件は世界に衝撃を与えた。翌4日、ロシアは中央アジア、主としてトルクメニスタンから輸入している安いガスと合わせて95ドルで販売することで妥結したが、ロシア・エネルギーへの国際的信頼は大幅に落ちた。ロシアが4倍以上値上げしても国際価格に近づけたということに過ぎず、ウクライナは値上げ自体は認めざるを得ないと覚悟したが、数年かけて段階的に値上げすることを求めた。これに対して、ロシアはその猶予を拒否し、代わりに36億ドルの融資を提案、交渉は半年も続いていた。この事件が特に注目されたのは、ウクライナに親欧米政権が成立し、それに対するロシアの嫌がらせとみなされたからだ。ウクライナでは04年12月オレンジ革命が生じ、親ロ派勢力を退けて、親欧米派のユーシェンコ政権が成立。ユーシェンコ大統領はNATO(北大西洋条約機構)とEU(欧州連合)加盟を外交の最重要課題に挙げた。ウクライナのNATO加盟は、米軍がロシア国境に迫ることを意味し、ロシアが最も神経を尖らせている問題だ。旧ソ連から独立したウクライナは、エネルギーの大部分をロシアからの輸入に頼っている。米国は、ロシアがエネルギーを政治圧力に使っているとしてこれを厳しく批判した。

(袴田茂樹 青山学院大学教授 / 2007年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について | 情報

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