ウッドワード-ホフマン則(読み)ウッドワードホフマンソク

化学辞典 第2版 の解説

ウッドワード-ホフマン則
ウッドワードホフマンソク
Woodward-Hoffmann rule

1965年にR.B. Woodward(ウッドワード)とR. Hoffmann(ホフマン)によって提案された,ペリ環状反応の立体選択性に関する規則.軌道対称性の保存則ともいわれ,環状電子反応,付加環化反応,シグマトロピー転位などのペリ環状反応において,生成系の立体化学が反応系の軌道の対称性によって規定されるというもの.ペリ環状反応では,結合の生成と切断が協奏的に進行する.その際,反応に関与するすべての軌道を用いて,量子化学の非交差則に従って反応系と生成系の間の軌道相関図を作成すると,反応が基底状態で対称許容か対称禁制かを予想することができる.たとえば,1,3-ブタジエンからシクロブテンが生成する反応は,同旋過程は対称許容であり熱的に反応が進行するが,逆旋過程は対称禁制となり反応は進行しない.逆に光反応では,逆旋過程のほうが対称許容となる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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