ウースター磁器(読み)ウースターじき(英語表記)Worcester porcelain

改訂新版 世界大百科事典 「ウースター磁器」の意味・わかりやすい解説

ウースター磁器 (ウースターじき)
Worcester porcelain

イギリス磁器窯の一つ。1751年,化学者ジョン・ウォールがウースター市内で開窯したもの。素地はコーンウォールに豊富に産するソープ・ロック(凍石)を用いた軟質soft paste磁器。初期の装飾様式は日本の柿右衛門手や伊万里磁器を自由にまねた,〈ウースター・ジャパン〉と呼ばれたものが知られるが,1760年以降はセーブルマイセンの影響を受けたロココ風の優雅な人物や田園風景のものが顕著となり,さらにその世紀末から19世紀初頭にかけては,その時代の趣味を反映して,新古典的な人物の置物や部分的に金彩を縁どりした端正な磁器が多量に製作された。また,ここでは1757年にロバート・ハンコックが絵付けに銅版転写を採用し,早くから磁器の大量生産に努めた。ウースター窯は開窯後,次々に経営が変わり,曲折を重ねながらも,硬質hard paste磁器やボーン・チャイナ骨灰磁器)などさまざまの磁器を製作し,今日にいたっている。1862年社名をローヤル・ウースター磁器製作所に変更した。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ウースター磁器」の意味・わかりやすい解説

ウースター磁器
ウースターじき
Worcester porcelain

イギリス,イングランド西部のウースター窯で,1748年から作られている軟質磁器。 48年ベンジャミン・ルンドがブリストルに開窯,52年ウースターに移窯し,1862年ウースター王立磁器会社となった。伊万里風の梅花,菊,魚などを描いたり,マイセン風の花鳥を描いた東洋趣味のものが多かったが,18世紀末から 19世紀初頭にかけては多種多彩なロココ風の磁器が作られた。

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